【R2-No.15】研究紹介:建築物省エネ法と沖縄の気候風土適応住宅

2021年4月より、住宅を設計する建築士は省エネルギー性能を建築主に説明することが義務化されます。国が進める省エネ施策の一環です。
 建築物省エネルギー法は建物の断熱性を高めることを推奨していますが、沖縄では異なる考え方があります。そもそも、建物が熱を受けとめないようにすること、これを遮熱と言い、たとえば、壁の外側に花ブロックを配置して日射を遮れば、壁の温度上昇を防げますから断熱に頼る必要はなくなります。沖縄の建築設計者からは省エネ基準の一律の適用に疑問の声が上がっています。
 幸い国は省エネ基準の適用の例外として「地域の気候風土に適応した住宅」という別の基準の可能性を認めています。沖縄の建築設計関係団体(沖縄県建築士会、日本建築家協会沖縄支部、沖縄県建築士事務所協会)は連絡会議をつくり、沖縄の気候風土適応住宅の考え方を検討してきました。民間の建築設計者、沖縄県、大学の研究者の連携によって地方独自の住宅のあり方を探求、推進しようとしています。
 沖縄の気候風土適応住宅の基準は、遮熱、通風、緑化などにより建物の内と外の環境がゆるやかにつながりながらも、過ごしやすい内外の環境をつくるものであり、緩衝領域という考え方に立つものです。気候風土適応住宅の沖縄県基準が定められれば、日本一律の制度運用に対して一石を投じるものになります。

琉球大学工学部工学科建築学コース・教授 清水肇   
Tel.098-895-8900 e-mail:shimizu@tec.u-ryukyu.ac.jp

沖縄の気候風土適応住宅の技術としての遮熱の例
Page Top