【R4-No.3】研究紹介:画像処理・解析およびその関連研究

工学科電子情報通信コース・准教授 野崎 真也

1 はじめに

 画像の認識・識別・解析などの技術は私たちの生活でも多く使われるようになりました。たとえば、スマートフォンで撮影した画像でさまざまな処理ができるようになり、車載カメラの普及など、ディジタル画像からの物体認識・処理などの適用範囲はますます広がっています。本研究室では画像処理・解析の研究およびその関連分野の研究も行っています。本稿では本研究室で取り組んでいる研究を紹介いたします。

2 人工知能による海底画像からの基質の自動判別

 環境保全学などでは、コドラート法という調査方法があります。その例として、沿岸付近で多数の箇所で海底を撮影し、その画像内にどの基質(たえとばサンゴや岩などの種類)を判別して、その沿岸領域内での環境を把握して環境保全などに利用します。しかし、取得した多数のすべての海底画像について基質判別することは多大な労力と時間がかかります。
 そこで、人工知能の1つである、深層学習(CNN)を用いて、基質を判別します。他の物体認識の場合と比較して形状が複雑なので判別は難しいのですが、様々な工夫を凝らすことで精度向上を目指しています。現在は精度向上だけではなく、塊状サンゴやソフトコーラルなどのサンゴの種類までも判別できるように取り組んでいます。

3 画像処理解析による顔面浮腫の観測・推定法の検討

 虫歯などによる腫れ等の顔面浮腫は,臨床医による直接の目視や触診による主観的な観測が主となっています。この観測から腫れがどのように引いていくか予想するためには正確な把握が必要となりますが、触診などは主観的になる部分も多いので安定的な把握は十分とはなりません。そのため、情報技術を活用した客観的な診断方法の確立が臨床現場から望まれています。レーザースキャナなどで顔面の3次元情報を得ることは可能ですが、装置が高価であることから現場で利用するためには可能な限り安価でかつ使いやすいシステムを構築することが必要です。

本研究室は安価なWebカメラなどの機器を用いることで顔面形状の取得し、さらにOpenfaceというAIベースのソフトウエアから顔形状の変化を評価するシステム化に向けた研究を行っています。図1では、Openfaceを用いた顔面の3次元情報を得る研究の概念図を示しています。

図1:画像解析による顔面浮腫の定量的評価法の開発の概念図

Page Top