【R6-No.7】研究紹介:磁石を用いたティグ溶接の高効率化に関する研究
琉球大学 工学部 工学科 エネルギー環境工学コース・准教授 松田 昇一
(E-mail:matsudas@tec.u-ryukyu.ac.jp)
アークプラズマを利用したティグ溶接は溶接表面の清浄性、継手の信頼性が高いことから広く利用されているが、溶着(溶接)速度が遅く、溶込みが浅い欠点がある。我々はこれらの対策として、磁場の利用を提案している。ティグ溶接に磁場を付加すると、アークおよび溶融池に電磁力が発生する。その電磁力を利用するとアークの挙動や溶融金属の流動を制御することができる。本稿ではその研究の一部を紹介する。
溶接電流を大きくすると溶着速度は向上するが、過度に大きくした場合、重力により溶融金属が垂れ下がり、溶接が不可となる。図1に磁場を付加した場合のアークおよび溶融池内の電流と電磁力の向きを示す。図1の磁極の配置では溶融池中央部に上向きの電磁力が発生する。その上向きの電磁力を利用すると、重力により溶融金属が垂れ下がるような入熱過大の条件においても垂れ下がりを抑制できた。また磁場の向きを逆にすると下向の電磁力が得られる。この下向の電磁力を利用すると、溶込みを増加させる事ができた。
