【R6-No.9】研究紹介:プラズマ生成装置の開発および滅菌への応用
琉球大学 工学部 工学科 電気システム工学コース・教授 米須 章
(E-mail:yonsu@eee.u-ryukyu.ac.jp)
医療機関における医療器具の滅菌には、主に高圧蒸気滅菌やガス滅菌が用いられていますが、それぞれ、非耐熱・非耐湿性の材料には使用できない、ガスの毒性のため取り扱いに注意が必要、処理時間が長いなどの欠点があります。これに対し、近年、プラズマ用いた新しい滅菌法が注目を集めています。プラズマ滅菌法では、プラズマ中の高エネルギー電子により生成された活性種が菌と反応することにより菌を死滅させます。このため、従来の方法に比べて低温で短時間での処理が可能となり、また、放電に酸素ガスを用いるために安全性も高いという特長を有します。プラズマは、その生成法(放電形式)により特性が異なります。本稿では本研究室で開発したプラズマ生成法とプラズマ滅菌への応用について二つの研究例を紹介します。一つは、誘電体バリア放電にマイクロ波を組み合わせた方法で、大気圧下において高活性の低温プラズマを生成し、それを滅菌に用いることで従来の方法よりも短時間かつ低温での滅菌処理を実現しました。もう一つは、マイクロ波と磁場を用いて放電で電子サイクロトロン共鳴プラズマを生成し。従来のプラズマ滅菌法では困難であった長尺細管(内径5mm、長さ500mm)内部の滅菌に成功しました。
