【R6-No.5】研究紹介:沖縄県伝統木造住宅の有する振動特性について
琉球大学 工学部 工学科 建築学コース・助教 尾身 頌吾
(E-mail:omi@tec.u-ryukyu.ac.jp)
重要文化財に指定されるような既存の伝統構法で建てられた木造住宅の維持、保全をする上で、建物が有している現状の構造性能を正しく評価することが重要になってきます。本稿ではその文化財の構造性能評価を正しく評価するために向けた筆者の取り組みの中から、伝統木造住宅の振動特性に関する研究の一部を紹介いたします。本研究では、図 1 のような文化財に指定される沖縄県の伝統的な構造形式を持つ木造住宅が有する振動特性の把握および、現状の確認を目的としています。これまで、離島を含む沖縄県の伝統木造住宅 6 棟を対象に、常時微動測定を用いた現地調査を行いました。測定で得られた、各住宅の固有振動数の値を表1に示します。沖縄県で見られる伝統的な構造を有する木造住宅では、 梁間方向、 桁行方向ともに 2.5Hz 付近に固有振動数が見られました。 また、 測定を行った住宅において、劣化が多く見られた住宅では他住宅と比較しても固有振動数が低くなっていたことが確認でき、住宅に生じている劣化の判断指標として常時微動測定が有効に活用できる可能性が示唆されました。

