【R2-No.9】研究紹介:実物試験橋を用いた鋼橋のSDGsに関する研究

鋼橋の強靭化へ向けた新しい防食とメンテナンス技術の開発を目的として「過酷な塩害環境」と「台風常襲環境」にある沖縄の環境に活用して,最新技術と知見を結集した実物の試験橋を建設し,実践研究を開始した.写真1に琉球大学工学部付属地域創生研究センターの暴露場に建設した実物試験橋の外観を示す.当該暴露場は,厳しい濡れ環境下にあり,飛来塩分も年間を通しても0.2mdd以上の厳しい地域である.また,年間に多数の大型台風が接近する台風常襲地域である.よって,実物試験橋の架橋地点は防食とメンテナンス技術の開発研究に最適な環境にある.実物試験橋では, 鋼橋の腐食弱点と知られている桁端部や高力ボルトの防錆防食技術をはじめ,腐食しやすい構造部位の支承の高防食化や床版・高欄の剥落防止技術を含む7大テーマを設定している.

  1. 鋼橋SDGsのための多機能防食デッキの耐風検証
  2. 新防食構造(ステンレス鋼と炭素鋼のハイブリッド)
  3. 長期耐久性を有する高力ボルトの防食技術
  4. 構造部位別の合理的な塗装技術
  5. 耐震上重要な支承部の防錆技術
  6. 桁端部における実践且つ効果的な補修・補強技術
  7. 床版及び壁高欄コンクリートの強靭化
写真1 実物試験橋
(工学部附属地域創生研究センター暴露場)

工学科社会基盤デザインコース・教授 下里 哲弘

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