【R3-No.13】研究紹介:光合成微生物を利用した斜面安定化技術の創生

 本研究では、光合成微生物の代謝反応が炭酸塩の析出を誘発し、風化斜面を安定化するメカニズムをフィールド調査や実験にて明らかにし、環境調和型の斜面安定化技術へと発展させることを目指しています。すなわち、無管理状態であっても自己組織的に強靭化し続ける地盤の創生です。
 下図は、光合成微生物が石灰岩表層で炭酸塩の析出を誘発している様子を示しています(沖縄島南部にて発見)。同図より、若齢の石灰岩表層では、網目状に発達した細胞外高分子物質(EPS: Extracellular Polymeric Substances)が、方解石の単結晶群の表面や間隙に分布しており、EPSの内部では方解石の微結晶が生成されていることが分かります。まるで、方解石の鎧をまとったEPSが周辺の構造を力学的にサポート・強化しているようです。この現象は軟質の若齢石灰岩だけでなく硬質の石灰岩でも観察することができることから、これを応用することで、脆弱化した岩石の表面を徐々に硬質化させ、安定化させることが期待されます。



工学科社会基盤デザインコース・准教授 松原 仁


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