【R4-No.8】研究紹介:文化財のDX

工学科知能情報コース・准教授 赤嶺 有平

沖縄県には,「グスク」をはじめとする歴史的建造物が数多く存在しており,それらのいくつかは世界遺産として登録されるなど歴史的・文化的価値が高く評価されています. しかし, これらの歴史的建造物に関する情報発信は個々に行われていることが多く,情報の集約が求められています. さらに,歴史的建 造物の成り立ちの理解を深めるためには,建造物の形状と周辺地形の関係,各建造物の位置や交通網などの情報も重要です. したがって,それらを明確に提示することは,文化的な価値の向上だけでなく,観光資源としての価値の向上も見込めると考えられます.

本研究では,写真測量を用いた「史跡の 3 次元 CG モデル(建造物)」の作成と,衛星写真及び標高モ デルに基づく「史跡周辺の地形」を統合的に可視化するシステムを開発しています. これにより,史跡周辺の地形と史跡内構造物の形状の関係を可視化する事ができます(図 1). これは,歴史的な理解を深めるための支援情報提示の一つといえます.

図1. 提案システム概要

また,近年博物館では様々な展示方法の工夫がされていますが,AR を利用した展示や説明方法も取り入れ始めています.本研究で作成した中城城の 3D モデルも,2019 年 11 月~2020 年 1 月に沖縄県立博物館で開催された「グスク展」において AR 展示しました(図 2).

図2. 中城城のAR表示(沖縄県立博物館の展示にて)

このように,文化財の 3D モデル化,デジタルアーカイブは,文化財の現状を記録するだけでなく,歴 史・文化的理解を深めるためのツールとして活用できます.

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